前回、自分でも「予想」を書いているわけで他人のことを言える立場じゃないですが、開幕直前、各メディアにあふれる「予想」を眺めていると、自戒も込めて、やっぱりこう思ってしまうのであります。
「予想」よりも「予想外」のほうが面白いに決まってる。
予想とは過去の実績から想定される範囲の出来事であり、予想外とはゼロから突如として現出するアクシデントである。簡単な例でいうと「杉内が15勝する」というのは予想であり「宮國が15勝する」というのは予想外であろう。で、どちらがプロ野球を活性化させるスリリングな事件かといえば、文句なしに後者だと思う。
「ダルビッシュの穴が大きい」「青木の穴が大きい」「杉内と和田とホールトンと川﨑の穴が大きい」……というのはすべて「予想」に立脚した物言いである。評論家の分析としては正しいのかもしれないけれど、野球ファンは「穴」を確認するために球場へ行ったりCSチャンネルと契約するわけじゃない。「穴」の大きさを計測するために、日々、時間をやりくりしながら野球を追い続けるわけじゃない。
野球には「穴」なんてない。いつだって打順には9人が並んでいるし、フィールドには9人が守っているのだから、それをただただ見ていればいい。ただただ見ていれば、そこには必ず何らかの「予想外」が立ち上がってくるはずなのだ。
1994年シーズンの開幕前、パンチ佐藤との抱き合わせ商法(?)で登録名を変えられたオリックスの若手外野手イチローが、シーズン200安打を打つと誰が「予想」しただろう。
そういうわけで、今シーズンのプロ野球、ワタシの心の観戦フレーズは以下の通りです。
1994年のイチローが200安打を打ったのだから、2012年の上田剛史が200安打を打ったっていいじゃないか!
(オースギ)