3・25にNPBがやらなくてはいけないこと
今日(3月13日)の日刊スポーツによれば、NPB事務局は、25日の開幕戦開催について「そこまで検討する段階ではない」と答えたという。いまだ情報収集に手一杯ということか。
おそらくKスタの早期使用は困難だろう。開幕カードの「楽天×ロッテ」はビジターの千葉で代替開催、という対処は可能だけれど、QVCマリンフィールドも周辺が液状化しており、かなり厳しい状況のようだ。
それに加えて、電力供給問題という深刻な状況がある。国民的に大掛かりな「節電」に取り組まなくてはならないことは明らかで、そんな時に、ドーム球場および屋外球場でのナイトゲーム開催が許されるのか。
社会あってのプロ野球だから、自分たちの都合だけで物事を決められるはずもない。通常通りに公式戦をスタートしたい、という思いは野球界および野球ファンの総意だろうけれど、それが適わないという可能性も覚悟しておかなくてはならないだろう。
しかし見方を変えれば、NPBは何のために存在しているのかといえば、それは社会のために存在しているのであって、そういう見地からして、NPBがやるべきことはただひとつだと私は思う。それは、
(本来の開幕日である)3月25日からプロ野球を開催すること
である。たとえどんな形であってもだ。
通常の公式戦が開催できないのであれば、12球団による変則的な短期リーグ戦を「使用可能な屋外球場(神宮、横浜、甲子園、ほっともっと神戸、ズムスタなど)」で「デーゲーム」で行えばよい。もちろん、それは【復興支援試合】となるだろう。公式戦と同じ入場料を取ってよい。言うまでもなく、ベストメンバーによる真剣勝負だ。
それがどのくらいの期間に及ぶのかわからない。公式戦のように、毎日試合を行えるわけでもないだろう。それでも、とにかくどんな形でもいいから「試合=興行」を行わなくてはならない。なぜなら、プロ野球の社会的使命とは「プロ野球の試合を行うこと」にほかならないからだ。
そして、先の話にはなるけれど、7月に予定されているオールスター3試合は、会場を変更してもらいたい。Kスタ、岩手県営球場(盛岡)、福島県営あづま球場orいわきグリーンスタジアム、である。球場の復旧に時間がかかる場合は、時期を後ろへずらせばいい。
日本という国が幾多の困難を乗り越えて今日があるように、日本のプロ野球も様々な困難を乗り越えてきた。阪神大震災の2ヶ月半後に、神戸で開幕戦を開催した(私も現場にいました)。そして、第二次大戦中は他の競技が次々と活動を停止するなか昭和19年までリーグ戦を継続し、さらには、日本中が焦土と化した敗戦直後に「東西対抗」を開催した、日本プロ野球の歴史を今こそ思い起こさなくてはならない。
昭和二十年八月下旬のこと、空襲のため社屋を焼かれて東京築地の西本願寺に仮社屋を設けていた読売新聞社に、社長正力松太郎を訪ねた鈴木惣太郎は、開口一番、「プロ野球を再興したらどうでしょう」と切り出した。(大和球士『真説 日本野球史』昭和篇その五)