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表彰選手は記名投票で

MVP、新人王、ベストナイン、ゴールデングラブ。
これら表彰選手が発表される際、ひそかに楽しみにしているのは、
投票結果よりもむしろその詳細である。
ちなみに今年のベストナイン投票結果詳細はこちらで、
ゴールデングラブ賞投票結果詳細はこちらです。

楽しみにしている理由は、毎回、
必ず「ユニーク」な投票をされる記者さんが散見されるからである。
今年もいたよ。ベストナインから見ていこう。
今年のユニーク大賞は、パの一塁、小谷野(F)に1票。
そりゃ、稀に守ったことはあるだろうけどさ。球界一の名サードに失礼。
他にもいくつか挙げてみよう。
パの捕手、上本(L)に1票。パの外野、荻野(M)に1票。
セの一塁、ホワイトセル(S)に1票。セの外野、赤松(C)に1票。

規定打席以下でベストナインになったことって、過去にあるのかな?

ゴールデングラブには、もっとわかりやすい「ユニーク」がある。
セの外野、ラミレス(G)に1票、スレッジ(F)に1票。
「ゴールデン」という形容詞の概念が違うのかもしれないね。
まさか金本にも票が……と怖くなったが、さすがにそれはなかった。

毎年、こういう「ユニーク」を見るたびに思うのは、
「けしからん!」という憤りではなくて、
単純に「投票理由を聞いてみたい」ということである。
我々は自由な言論が許される社会に生きている。
誰がどんな意思表明をし、どんな見識を世に問おうと自由だ。
したがって「ラミレスは名外野手だ!」と主張する野球記者がいたって構わない。
むしろ、我々の常識に揺さぶりをかけるそのような見識こそ、
詳しく知りたいと思うのが人情ではないだろうか。

この種の表彰選手は記名投票にして「誰が誰に投票したか」を公表したらいいと思う。
発表後にネットで公開してもいいし、
翌日の紙面で「我が社の記者はこう投票した」と各紙が掲載すればいい。
いったい、そこにどんな不都合があるのだろう。
毎日球場へ通い、選手やスタッフと直接会話し、特等席で試合を見ている野球記者たちが、
日々の仕事で培った野球観を世に問う絶好の機会ではないだろうか。
読者にとっても、トータルの投票結果とは別に、
「自分の野球観と近い記者」を発見する楽しみができる。
これからのメディアは、そういう個別性が大切だと思うのですがね。

仮に「誰に投票したかがバレたら取材活動に支障が出る」のであれば、
そんな取材者との関係は一刻も早く解消したほうがいい。
考えてもみよ。競馬記者は毎週、出走馬に印をつけているのである。
彼らにも「担当厩舎」があるし、関係者との付き合いもあるだろう。
それはそれとして、競馬記者は自分の意思で印をつけることによって、
自らの競馬観を毎週、世に問うているわけだ。それで支障があるだろうか。

ちなみにワタシは昨日、ツイッター上の前予想で
「MVPは攝津と浅尾」とつぶやき、見事、撃沈しました。
セットアッパーW受賞という初の現象こそ、現在のプロ野球のリアル。
そんな野球観に基づいた「中穴狙い」だったのですが……。

(オースギ)

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2010年11月19日 01:07に投稿されたエントリーのページです。

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