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ワタシがマリーンズを好きになった理由(日本一に寄せて)

それは1995年のこと。いっしょうけんめい追いかけてきた音楽というカルチャーがどうにもこうにもツマらなく思えてきたときに、イチローがさっそうと登場。少年時代にすこしだけハマった野球というものに再度目覚めた。

90年代の球界には、80年代までの球界風情、パンチパーマとセカンドバッグな、昭和の香りがまだ残っており、それとの対比でイチローがキラキラと輝く新しいムーブメントに見えた。

ただ、選手ではなくチーム全体で見れば、やはりどこもかしこも昭和な香りがして、思い入れようにもそのことが強烈なネックとなった。その中では、千葉ロッテマリーンズがそういう昭和臭からもっとも遠いところにいると感じた(イチロー属するオリックスブルーウェーブも昭和臭弱めだったが神戸ということで地理的に遠かったことが敗因)。

千葉ロッテマリーンズのファンになろう。

バレンタインがいて、伊良部、ヒルマン、小宮山の三本柱。初芝、堀、フリオ・フランコ。ピンストライプのホーム用ユニと、グレーのビジター用ユニ。それらすべてが、ずいぶんソフィスティケートされているように見えた。

ここでかるく「ソフィスティケート」というコトバを使ってみた。もうすこしコトバを継ぎ足すと、歴史のしがらみなく、過去から自由で、その分ちょっと軽薄短小で、カラっと明るく、そしてなによりも若々しい。そんなイメージ。

だからオリオンズ・川崎的なるものとは無関係に見ていたのだ。よく「川崎時代からのファンですか?」と質問されるが、そのときには毅然と「いえ、幕張以後なんです」と答えることにしている。

2010年、千葉ロッテマリーンズ、日本一。05年も格別だが、今回も感無量である。ある意味では今回のほうが強くココロが揺さぶられた。

話はかわるが、ワタシのいちばん好きなコトバは「快活」。すべては快活でなければならない。ActiveやPositiveに、もうひとつ、Comfortableの意味が入ったコトバ、快活。

吉田拓郎は《ビートルズが教えてくれた》という曲で歌う―――「もっと陽気であっていいじゃないか」と「ビートルズが教えてくれた」。

そう。ビートルズはそういう価値観を世界中にまき散らしたんだ。そして、明るく自由な方法論で、明るく自由な方角へ、世界を導いたんだ(ここを分かっていない評論家が多すぎる)。

まずは笑ってフィールドに立とうじゃないか、いい球が来れば初球か打っていいじゃないか、場合によってはノースリーから振っていいじゃないか、8回終了4点ビハインドでも下を向くんじゃない、でも最後の最後はバットを極限まで短くもって渾身の力で速球を振り抜き、前進守備のセンターを越える予想外の長打でいっきに三塁まで駈け抜けるんだ・・・そして最後は、応援団といっしょに肩を組んで、笑顔で、大きな声で歌うんだ。

誤解のないように言っておけば、昭和の野球、眉間にしわを寄せてコツコツと攻めていく野球も大好きだ。ただし、もうここまでくれば、野球は人生観そのもの。ワタシ自身が「快活」に生きることを選んでしまったのだから、野球にもそれを求めさせてもらうよ。

繰り返すが―――歴史のしがらみなく、過去から自由で、その分ちょっと軽薄短小で、カラっと明るく、そしてなによりも若々しい―――そんなことをいちばんたいせつに考える人生を歩むことに決めた。だから千葉ロッテマリーンズなんだ。だからマリーンズの奔放な若者たちの闊達な活躍にシビれるんだ。

西岡がメジャーに行くという。西岡は今季のMVPだと思うし、その初本塁打を富山で観たという因縁もあり、マリーンズの中で、もっとも思い入れがある選手である。しかしワタシは引き留めたいとは思わない。

西岡の後も、また(まだ見ぬ?)快活な若者が出てきてその穴を埋めてくれる。そして適切な新陳代謝が行われ、さらに快活なマリーンズになり、眉間にしわを寄せる野球を高らかにあざ笑う。

それが、マリーンズ。ワタシが好きな、マリーンズ。―――ワタシがマリーンズを好きになった理由。

(ス)

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2010年11月16日 13:46に投稿されたエントリーのページです。

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