「T-岡田」問題について考える
オリックスの「岡田貴弘」は期待している選手の一人だ。
不発の大砲・大森剛(元巨人、現スカウト)にソックリ、という点がネックなのだが、
幸いなことに、彼が所属しているのは窮屈な巨人ではなく、オリックスだ。
待望久しい和製スラッガー候補として、伸び伸び育ってほしいと思っている。
だからこそ、開幕を前にして、あえてここで質しておきたい。
「T-岡田」でいいのか、本当に?
オリックスは「イチロー」を生み出した球団だから、
登録名については鷹揚な空気があるのだろうと思う。
というより、イチローという稀有な成功例があるものだから、
期待値の高い選手ほど登録名を作りたがる風潮すらあるのかもしれない。
しかし、「T-岡田」という結論を出す前に、
もう少し立ち止まって考えてみたほうがよくはなかったか。
スポーツ紙で「T-岡田」という字面を目にしたとき、とっさに連想したのは
「C-3PO」とか「R2-D2」であって、これはもうギャグ以外の何者でもないだろう。
「野球を笑う」ことを誰よりも好きだと自負しているワタシではあるが、
それは結果として笑えるからこそ意味があるのであって、
のっけから「笑ってくれ」とばかりにネタを提出されても困るのである(実は大して笑えないし)。
それでも登録名が必要というなら、まあ「イチロー」のパターンしかないだろう。
となれば「タカヒロ」となるが、それじゃあEXILEのボーカルだ。
あのツラとのギャップは甚だしい限りで、やはり感心しない。
聞くところによれば、「T-岡田」が生れた発端は、
同姓の岡田監督が「紛らわしいから登録名考えたほうがエエんちゃうの」
という意味の発言をしたことであるという。
ここに、そもそも釈然としないものを感じるのだ。
プロ野球において、監督と選手、どっちがエラいのか。
現場では監督のほうがエラいんだろうが、我々ファンにとっては、
数年でコロコロ代わる監督よりも、この先ずっと球界を背負っていく選手のほうが
ずっと大切だし、何倍もエラいのだ。
だからこそ言いたい。紛らわしいんだったら、お前が名前を変えろ。
「どんでん」でも「藤山寛美」でも何でもいいから、
適当な登録名で数年監督を務めて、その間、自分がピエロになって話題を集めればいい。
大切な選手を、テメェの都合でオモチャにするな。
結論としては、岡田貴弘は「岡田」でよろしい。
考えてもみよ。今季、彼がブレイクして全国区の選手になったら、
「T-岡田」という登録名が浸透してしまって、後へは退けなくなってしまうのだ。
この先、数々のタイトルを獲得し、スラッガーとしての風格をかもし出し、
やがてメジャーから声がかかるかもしれない。しかし、彼は「T-岡田」なのだ。
もし、松井秀喜が「H-松井」としてプレイしていたら、
これほどリスペクトされる選手になっただろうか。
元へ戻すなら今のうちだ。ブレイクしてからでは、遅いのである。
以下、補足。
①じゃあ「G.G.佐藤」はどうなんだ?という声があるだろう。「G.G.佐藤」も好きではないが、「T-岡田」よりはまだマシだと思う。何がイヤかというと、「-」の部分である。この「-」に、人を人としてみていないゾンザイな感じが漂ってはいないだろうか。
②ロッテの「翔太」(大嶺翔太)についても、一言言いたい。入団前にああいう経緯があって、球団はずいぶん厳しいコメントをしていたはずなのに、登録名は「翔太」である。言ってることとやってることが違うんじゃないか。ここは、松沼ブラザーズの伝統にのっとって「大嶺兄」「大嶺弟」でいいんじゃないのか。
(オースギ)