この件について。
とってもシンプルにコメントしておくと「インプレー中の横断幕」という時点で、横断幕を掲げたほうの負け。野球倫理に抵触している。以上!―――なのだが、内野席派のマリーンズファンとしてはもう少し言いたいことがあるので続ける。
その前に前提論を。前提(1):ワタシはボビー解任に賛成。理由は、これもとってもシンプルで在任6年でBクラス4回、今季5位で残留の方が不条理。
前提(2):しかし(真偽の程は定かでない部分もあるが)社内会議で「千葉のくだらないファンなら(本拠地を)変えようか」と語る社長に代表されるフロントにも賛同できない。それ以前に社内会議の議事録がリークされている時点で組織として腐っている。
前提(3):ただし、話をややこしくするようだが、スタンドにおける批判めいた横断幕自体は、(その書き方には意見があるが=後述=総論として)ワタシは嫌いではないのだ。2004年、球界再編問題のときに、多くの横断幕がスタンドに掲げられたのを観ていた者の意見としては。
という前提の下、上に述べた「インプレー中は倫理外」ということに加えて、その書き方にも意見しておきたい。
野球場は、野球を観るところである。このくだらない現実に疲弊した人々が、一瞬のトキメキとヤスラギをもとめて、なけなしの金をはたいて駆けつけるところである。
だとしたら、すべてにおいてプレー、ゲーム、野球そのものが優先されなければいけない。更に言えば、このくだらない現実に対抗する、ポップでポジティブな野球的価値観が優先されなければいけない。
問題は、メッセージの書き方だ。
「瀬戸山 石川 米田 全員死刑」なんてのは問題外。今回掲げられたこれ以外の横断幕も表現が直接的すぎて、センスがなくって笑えなかった。
ここで「笑い」というキーワードを突然出した。違和感を感じられる向きも多いと思う。が、ワタシ的には「ポップでポジティブな野球的価値観」と「笑い」は、そうとう近いものと考えている。
あれは7~8年ほど前か。低迷するオリックスの応援団が出していた横断幕。当時「行政改革推進本部」かなにかの委員長を務めていた宮内オーナーをネタにし、「宮内さん、行政改革もいいけど、その前に球団の改革を」(細かな文面は忘れたが)。
どうだろう。このウィットは? 笑えるだけでなく、よく読めば、宮内氏の本質をあげつらった、そうとう辛辣で知的な頭脳犯メッセージである。これが「批判めいた横断幕」について、ワタシが考える理想的なかたちである。
もっと直接的に言わなければメッセージは伝わらない、と感じる方が多いと思われるが、繰り返すが優先されるべきは野球的価値観である。《give peace a chance》よりも《imagine》のほうが心に残るのである。要はポップかどうか。
逆に、その直接的メッセージが、西岡剛どころか、他のマリーンズファンまで批判されているじゃないですか。運動の分裂。今、対峙すべきフロントの側にとって、こんなにおいしいことはない。思うツボだ。
インプレー中以外、できれば5回裏終了時、ゲーム終了時に、ウィットに富んだ横断幕をすっと出して、笑いと共感を呼ぶ。敵を作らず、むしろ共闘を呼びかけるのにはこれしかない。
なぜならば、そこが野球場だからだ。
以上、長くなったが、千葉マリンにおける「横断幕問題」についてのワタシの見解である。シルバーウィークに、仙台、福岡、千葉でマリーンズ7試合(8試合中。4勝2敗1分)を生観戦した42歳がいうことだから、少しは信じてほしい。
(ス)