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2009年01月 アーカイブ

2009年01月01日

年頭言~2034年へ向けて

明けましておめでとうございます。
東京は抜けるような青空、穏やかな元日です。

社会に閉塞感が漂う中、つい目先のことばかり気になる我々ですが、
こんな時代だからこそ、大きな視野でゆったりと
野球を見つめ、考えていこうと思います。

1929年の世界恐慌のときも、
ヤンキースタジアムではベーブ・ルースが本塁打を打ち続けていました。
敗戦直後、焦土となった東京の神宮球場では、
大下弘が青バットで本塁打をかっ飛ばしました。
どんな時代であろうとも、野球は不滅なのです。

「プロ野球100周年」の2034年まで、あと25年。
これからの25年、社会がどう変わろうとも、
我々野球バカは「プロ野球」を支え続けていかなくてはなりません。


1934年、来日する全米選抜を迎え撃つために急遽誕生した「職業野球」。
16歳のエース・沢村栄治と、ルースやゲーリックとの対決で始まった日本のプロ野球。
2ヵ月後に迫ったWBCは、日本の「沢村賞投手」たちが
メジャーリーガーたちに真っ向勝負を挑む舞台。
それは、1934年の「初心」をあらためて思い起こす舞台でもあるはずです。

今年も、そしてこれからも、大いにプロ野球を語りましょう。そして、プロ野球を支えましょう。

(オースギ)

2009年01月28日

「ドカベンスタジアム」問題

今年は、諸事情あって正月明けの3連休に新潟市へ帰省。
上越新幹線が終点の新潟駅に着く直前、
進行方向右手に目をやると、いつものように
J1アルビレックスの本拠地「東北電力スタジアム」(通称ビッグスワン)の威容がある。
そして、その隣に、まるで恐竜の骨格標本のような鉄骨の塊が見えた。

我が故郷・新潟市に、ようやく、3万人収容・ナイター設備有の新球場が完成する。
7月7日・8日には広島×阪神戦が開催され(新潟県で行われるプロ野球公式戦は19年ぶり)、
2010年オールスターゲームの開催も内定。
昔から「高校野球最弱県」のレッテルを貼られ、
アルビレックス発足後はすっかりサッカー一色の風土になってしまった新潟に、
ようやく、他県並みの野球インフラが整ったわけである。

で、その新球場が、ネーミング問題で揉めているらしい

実家で地元民の弟に「この不景気で球場にスポンサーなんて付くのか?」と聞いたら
「サッカーと一緒で東北電力って話だよ」。
ま、その仮定で話を進めると、個人的意見としては、
スポンサー名も「ドカベン」も両方付ければいいんじゃないの、ということになる。
長すぎる気もするが、冷静に考えるとそうでもない。

「東北電力ドカベンスタジアム新潟」
「マツダZoom-Zoomスタジアム広島」
「クリネックススタジアム宮城」

ほら、大して変わらないでしょ。どうせ、みんな「ドカスタ」とか「Dスタ」とか
勝手に略称で呼ぶようになるんだろうし。

それより「『特定の高校のイメージが強過ぎる』などの否定的な意見もある」というのが
地元出身者としてはリアリティがある。
ここでいう「特定の高校」とは、言うまでもなく、新潟明訓高校ですね。
かく言うワタシが、28年前の春、第一志望の公立に落ちて
仕方なく入学した高校であります。
いまでも覚えている、入学式での当時の校長の挨拶。
「我が校はマンガでばかり有名ですが、諸君はそういうこととは関係なく、
勉学に励んでもらいたい」

さて、マンガの「明訓」は神奈川県の高校である。
だから、本当の明訓OBとして言わせてもらうと、
「ドカベン」が新潟になじみが深い、というのはややピンとこないのである。
水島作品でいえば、“新潟度”が濃いのは「あぶさん」のほうだ。
景浦安武は新潟市出身であり、当たり前だが、オフは新潟に帰省する。
よく、粉雪舞う信濃川と万代橋(新潟市の代表的風景)が
マンガに登場していた記憶がある。
なぜ「あぶさんスタジアム」という声はあがらないのだろう。
「あぶスタ」では語呂が悪いからか?
それとも、アル中の名前を付けるのは教育上よろしくないから?

(オースギ)


2009年01月29日

古典野球落語「ぼやき指南」

古典野球落語の第4弾です。「初芝浜」「三枚新庄」「シュートがこわい」に続きまして今回は野村克也を主人公にした「あくび指南」ならぬ「ぼやき指南」。なんだかもうネタバレしてますが……

「ぼやき指南」

町を歩く克也と息子カツノリの二人連れ、角のとある家に墨黒々と「ぼやき指南所」と書かれた看板があるのを発見。

「稽古所と言やぁ常盤津や長唄、茶の湯ってのが相場だが、『ぼやきの指南』ってのは珍しい。一つ入ってみようじゃねえか」

興味津々のカツノリ、対する克也は「つまらん真似を」と渋い顔だが、付き合いでカツノリともども件の「指南所」を訪れる。

「普段、みなさんのやっているぼやきは『駄ぼやき』と申しまして、一文の価値もありません。本来なら、人さまに失礼なものである『ぼやき』を、風流な芸事にするのが、この稽古場なんでございます」

師範はいかにも「老成した大家」風、そのもっともらしい講釈にカツノリは感心。側で見ていた克也は馬鹿馬鹿しさにはなから唖然とする。

「それでは、まず季節に因んだぼやきから始めましょう。ただいまは夏ですから、『夏のぼやき』から始めましょうか……」

お題。仙台あたりで、野球を観戦している場面を想像されたい。

「あなた、Kスタ宮城の観客です。8回まで勝ってたのに9回表にフェルナンデスのエラーでイーグルスが逆転されたシーンを思い浮かべてください」

扇子をバットにして、打ったボールがフェルナンデスのところに飛んだ気分を出して……

「こうやります。『おいホセさん、上手にキャッチしておくれ。あららら、トンネルだ。おいおい。草野球じゃねーかよ。ブツブツブツブツ……(と堂に入ったぼやきを入れる)』」

「へー、意外と面白いねぇ。えーと、『おい、ホセさん!!』」

「もっとゆっくり、いらついた声で」

「へぇへぇ。『おい、ホセさん!! 上手にキャッチしておくれ!!』」

無意味の極致のようなぼやき指南のやり取りがしばらく続く。

「おいおい。草野球じゃねーかよ。ブツブツブツブツ……」

あまりの阿呆らしさに、克也は驚きを通り越してあきれ返った。

「教わる奴も教わる奴なら、教える奴も教える奴だ……何が『草野球じゃねーかよ』だ! 散々待たされてるこっちの方が、よっぽどブツブツ言いたくなるよ。ブツブツブツブツ……」

克也、師範よりも堂に入った、見事に不機嫌なぼやき。

師範いわく「おやまあ、お連れさんのほうが器用だ」


(ス)

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