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アングリー・ビルは松坂大輔に夢を見るか?

おそらく、これほど日本人がレッドソックスに関心を抱いている時期はないでしょう。

そんな今だからこそ、見てほしい映画があります。
映画とレッドソックスといえば、近年公開された
『Fever Pitch』(邦題『2番目のキス』=ひどいタイトル!)を思い浮かべる向きも
多いでしょう。
まあ、アレも悪くはないんですけど、今回紹介するのは違います。

タイトルは『Still We Believe, Boston Red Sox Movie』。



内容を要約すると、2003年のレッドソックスとそのファンの姿を追った
ドキュメンタリー映画であります。

03年というのは、宿敵ヤンキースと戦ったALCS最終戦で、
優柔不断な某監督がペドロ・マルチネスを続投させたあげく、
痛恨の逆転負けを食らったシーズン。

日本人的には、松井秀喜がその試合で
ホームインの瞬間にガッツポーズをしたことで記憶されているんでしょう。
要するに、レッドソックス的には最悪の幕切れをした年であると。

日本のプロ野球でいえば、
1973年に阪神×巨人最終戦(勝ったほうが優勝)で巨人が勝った年の阪神ファンの、
あるいは1994年の中日×巨人最終戦(勝ったほうが優勝)で巨人が勝った年の中日ファンの
ドキュメンタリーと考えてもらえばよろしいでしょう。
つまり、あらかじめ悲惨な結末が待っていることを誰もが知っているエンタテインメント。

筆者は04年春にボストンへ行った時、幸運にもこの映画を見ることができました。
場内は要所要所で笑いの渦。つまり“ファンの機微”をちゃんと描写していることが
体感できましたが、中でも白眉だったのが“Angry Bill”と紹介されているオッサン。

高血圧に悩む中尾彬みたいな風貌のこのオッサン、
生まれついてのレッドソックス狂なんですが、
そのせいなのか、骨の髄からの悲観主義者。
毎夜、自宅の居間でレッドソックス戦に釘付けになるビルなんですが、
レッドソックスが1点でもリードを許すと、ソファから立ち上がって絶叫するわけです。


「This game is over!」


もうね、この様に場内爆笑なわけですよ。
つまり、これがレッドソックスファンの、ある種の“典型”なんです。

松坂大輔は、こういうファンが取り巻くチームに、
とんでもない金額と一緒に入団するわけです。
フェンウェイ・パークを埋め尽くす猜疑心の塊みたいな群集の中で
投げるという重さ。それを、日本のメディアはどこまで理解しているんでしょうか。

でも、この映画を見ればわかるはずです。
レッドソックスファンは、誰よりも「勝ち」に飢えている反面、
誰よりも「負け」に寛大であるということも。

ちなみに、「リージョンコードなんて関係ないもんね」という方は、
このURLをご参考にどうぞ。

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2006年11月22日 08:27に投稿されたエントリーのページです。

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